歯列矯正と抜歯について

歯列矯正と抜歯について

抜歯するか非抜歯で治療するか、患者さんがもっとも気に掛かる問題の一つだと思います。予防矯正、限局矯正により抜歯を回避できる症例、抜歯しないと治療できない症例、抜歯しないで治る症例等種々ありますが、それぞれ症例を供覧し、説明していきたいと思います。

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症例1

早期治療により、第1期治療(限局矯正)のみで治療を終了した症例(非抜歯)

初診時9才の女児です。反対咬合を主訴として来院されました。


第1期の治療終了、保定も終了した2年後の状態、安定した咬合関係を維持できています。


その後さらに定期観察し、約2年経過して終了したときの状態です。


このように適切な治療を施すと第一段階だけの治療でほぼ完璧な歯列に誘導することが可能ですが、このような症例は歯の大きさと顎の大きさがある程度マッチしていないと難しいものです。

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症例2

早期に受診し、限局矯正を施したことにより、非抜歯にて治療完了した症例

初診時10才の女児です。反対咬合と上下の歯のガタガタが気になり来院されました。


限局矯正約8ヶ月経過後、反対咬合が改善されました。


12才になり永久歯列が完成しましたが、一部歯列の不正があるために、非抜歯にて永久歯の本格的矯正治療に移行する前の写真です。


非抜歯での永久歯治療終了後の写真です。治療期間は約1年間でした。その後、保定処置に移行し安定するまで観察を続けます。


この症例のように、混合歯列期に放置することなく適切な処置を施すことにより非抜歯にて正しい咬合と歯列が確立できました。

          

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症例3

早期に受診し、骨格的な問題(上顎前突)を改善した後、歯の大きさと顎の大きさのアンバランスから永久歯完成時に抜歯して治療した症例

初診時9才の女児です。上顎前突と前歯のガタガタを主訴として来院されました。


約8ヶ月後の写真です。骨格的に上顎骨と下顎骨の前後的位置関係がずれていたのでまずそれを改善し、前歯のがたがたも同時に治しています。その後、永久歯列完成まで定期健診していきますが、この時点でこれから生えてくる歯の大きさが、顎の大きさよりも大きいために、永久歯完成後に再診断、再治療する必要があることを、既に説明済みであります。


約2年定期観察し、永久歯治療の前に再診断しました。前歯のガタガタ及び上口唇の突出感が気になると言うことで、抜歯による本格的な矯正治療に移行することとしました。


約18ヶ月経過後の状態です。すべての抜歯空隙は前歯のガタガタの除去と、上下前歯部の後方移動により閉鎖されております。それに伴い上下前歯部の傾斜も直立し、力学的にも非常に安定した咀嚼が可能な状態となりました。この保定処置(後戻り防止の処置)を施し終了していきます。


動的治療終了後、2年3ヶ月の状態です。安定した咬合が維持できております。

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症例4

早期に受診し、骨格的な問題(上顎前突)を改善した後、永久歯完成時に非抜歯にて治療した症例

初診時9才の女児です。上顎前突と前歯のガタガタを主訴として来院されました。


限局矯正治療1年後の状態です、上顎前突の骨格的なズレをまずこの段階で是正します。


約10年後、20才になった際前歯が気に掛かると言うことで再来院しましたが、第1期治療で骨格的なバランスを是正していたために、上下顎骨の成長が順調で、非抜歯にて治療しました。


永久歯の治療約1年後の状態で上下の咬合、口唇の状態ともに申し分ありません。

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症例5

初診時より歯の大きさと顎の大きさのアンバランスから、抜歯して治療した症例(抜歯せざるを得ない症例、正中に過剰歯があります)。

初診時11才の女児です。出っ歯の状態が強くかつ歯がガタガタなので、これを完全に改善するには抜歯は避けられません。


治療期間約1年半、抜歯による永久歯治療後の状態です。初診時からは想像がつかないほどきれいで正しい咬合に治療できました。口元もすっきりして美人度がアップし本人も両親も大喜びです。

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抜歯・非抜歯のまとめ

以上、いくつか例をあげましたが、基本的理念はなるべく抜歯をしないような治療であると思います。
抜歯による治療、非抜歯ですむ治療種々ありますが、患者さん固有の状態すなわち顔の形、歯の形態、口唇の突出状態、歯の植立状態、歯周組織の健康状態等詳細にわたり検査分析した後に、抜歯した方がよいか非抜歯ですむかを判断し、説明してから治療に移ります。

比較的早期(7才から8才頃に)に来院され適切に上下顎の成長をコントロールすることにより、永久歯列期での抜歯による治療の確率は減少させることができます。しかしながら歯の大きさがあまりにも大きく叢生や八重歯等の場合は、抜歯による治療をした方が、後戻りしにくく、安定した咬合を得られる場合が多いようです。このようなお子さんの症例を見据えた治療、長持ちする治療をするのが矯正専門医の使命であると思っております。そのために初診時には詳細な精密検査をし、詳細に患者さんの歯列の状態や咬合状態をチェックする必要があるわけです。



問題

 下写真のような症例は抜歯症例でしょうか?非抜歯で治るとおもいますか?


答え

 顎の大きさと歯の大きさが全くずれた症例で、歯が大きすぎるためにきちんと並ぶことができません。このような症例を非抜歯で治療すると、歯を前方に振り出して並べるしかなく、上下ともにすごい出っ歯となり、力学的にも歯の寿命は短くなります。噛み合わせ上一番珠でない4番目に歯を抜歯して治療します。

すべての症例において抜歯を進めるわけでありませんが、専門医として患者さんの症例を考えた、柔軟な考えで抜歯非抜歯を診断して患者さんに説明しております。

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